自己紹介

自己紹介

 私の研究領域は、理論的には、社会学(歴史社会学や国際社会学)やエスニシティ・ナショナリズム論、地域的には、特にユダヤ人に関連するロシア東欧地域と、イスラエルをはじめとした中東地域です。授業や演習では、それらを絡めながら幅広く議論をし、普通に生活しているだけでは決して知ることのない、世界の様々な側面への知見を広げることを目指しています。
 より専門的には、ロシア・ユダヤ史やパレスチナ/イスラエル(特にシオニズムや旧ソ連系ユダヤ人)を研究しています。パレスチナ/イスラエルは、しばしばニュースになる紛争地として知られています。この紛争は、19世紀末にロシア帝国を中心として始動したユダヤ人のシオニズム運動に淵源があります。私の研究は、その歴史に社会学的な視点から切り込んでいくというものです。20世紀初頭の時点でヨーロッパのユダヤ人の過半数が暮らしていたロシア帝国において、ユダヤ人は被差別マイノリティとして、暴力の対象にはなっても、武装して抵抗することは稀でした。そうしたユダヤ人が一部であれ、強靭な軍事力と自衛精神を保持するイスラエルという国を作っていった背景に何があったのかを、ロシア東欧史に立ち戻って探求しています。
 そのためには、ロシア東欧史とパレスチナ/イスラエル史をつなげて総合的に捉えていくことが必要になりますので、現在、世界の有力な研究者とともに、国際的にこの作業に取り組み始めているところです。

業績

業績

単行本(単著)
■ 『ロシア・シオニズムの想像力―ユダヤ人・帝国・パレスチナ』東京大学出版会、 2012年

単行本(共著、分担執筆など)
□『オスロ合意から20年―パレスチナ/イスラエルの変容と課題』(今野泰三・鶴見太郎・武田祥英編、NIHUイスラーム地域研究東京大学拠点、2015年、担当:第8章「旧ソ連系移民とオスロ体制―イスラエルの変容か、強化か 」)
□Brian Horowitz and Shai Ginsburg eds., Bounded Mind and Soul: Russia and Israel, 1880-2010, Bloomington: Slavica Publishers, 2013(担当:Ch. 5 “An Imagined Context of a Nation: The Russian Zionist Version of the Austro-Marxist Theory of Nationality”)
□『シオニズムの解剖―現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』(臼杵陽監修・赤尾光春・早尾貴紀編、人文書院、2011年、担当:第1章「忘れられた世代と場所――「長い一九世紀」最後のロシア・シオニスト」)
□『近代ヨーロッパの探究―福祉』(中野智世・高田実編、ミネルヴァ書房、2012年、担当:「コラム:ロシア帝国におけるユダヤ人の救貧活動」)
□『ナショナリズムとトランスナショナリズム―変容する公共圏』(佐藤成基編著、法政大学出版局、2009年、担当:第6章「ナショナリズムの「想像の公共圏」―ロシア・シオニズムにおける「国際規範」の創出と応用」)

学術論文
● “Jewish Liberal, Russian Conservative: Daniel Pasmanik between Zionism and the Anti-Bolshevik White Movement,” Jewish Social Studies 21(1), 2015年
● 「ダニエル・パスマニク―白系ロシアのシオニスト、あるいは二重ナショナリスト」『思想』(1074)、2013年
● 「研究ノート:「ユダヤ的かつ民主的国家」の起源についての一考察――ロシア・東欧史からの視座」『日本中東学会年報 』27(2) 、2012年
● 「ロシア・シオニズムにおける進化論的思考―帝政末期のユダヤ・ナショナリストがパレスチナを志向した一契機」『ロシア史研究』 88、 2011年
● 「ロシアに賭けたシオニスト―跨境的ナショナリズム1881-1917」『ユダヤ・イスラエル研究』24 、2010年
● “'Neither Angels, Nor Demons, But Humans': Anti-Essentialism and Its Ideological Moments among the Russian Zionist Intelligentsia,” Nationalities Papers 38(4), 2010
●「なぜロシア・シオニストは文化的自治を批判したのか―シオニズムの「想像の文脈」とオーストリア・マルクス主義民族理論」『スラヴ研究』57、2010年
●“The Russian Origins of Zionism: Interaction with the Empire as the Background of Zionist World View,” Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies 3(1), 2009
● “Was the East Less Rational than the West?: The Meaning of ‘Nation’ for Russian Zionism in Its ‘Imagined Context’,” Nationalism and Ethnic Politics 14(3), 2008
●「リベラル・ナショナリズムの罠」『相関社会科学』17、2008年
●「ロシア帝国とシオニズム―「参入のための退出」、その社会学的考察」『スラヴ研究』54、2007年
●「シオニズムをめぐるオリエンタリズムとカウンター/アンチ・オリエンタリズム―抜け落ちる「ロシア」―」『相関社会科学』16、2007年

翻訳
○ デイヴィッド・ウルフ「サハリン/樺太の一九〇五年、夏―ローカルとグローバルの狭間で」原暉之・ウルフ編『日露戦争とサハリン島―国家の論理と地域の論理』北海道大学出版会、2012年
○ エリック・ブライシュ『ヘイトスピーチ 表現の自由はどこまで認められるか』(明戸隆浩他訳)明石書店、2014年(共訳、第3章を担当)

その他
・「パレスチナ/イスラエルのフィールドはどこにあるのか―時間、あるいは関係性という視点から考える(フィールドからPhoto Essay)」『ワセダアジアレビュー』15、2014年
・「ロシア語シオニスト誌のなかの矢内原忠雄」『ユダヤ・イスラエル研究』28、2014年
・「多元主義のなかのアメリカ・ユダヤ社会とユダヤ研究―1世紀前のロシア東欧か」『ユダヤ・イスラエル研究』27、2013年
・「同盟と国境:地域大国を規定するもの」デイヴィット・ウルフ編『比較地域大国論集』8(新学術領域「ユーラシア地域大国の比較研究」)北海道大学スラブ研究センター、2012年
・「帝国を経たナショナリズム―ロシア・シオニズムはパレスチナに何を想像したか―」『創文』7月号、2008年

連絡先

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電子メールアドレス: Taro_tsurumi [at] yahoo.co.jp (*注意 @は[at]で表示しています。)

研究室: 非公開

電話番号: 非公開