自己紹介

自己紹介

 東南アジア史、とりわけフィリピンの近現代史を研究しています。近現代とは、二一世紀の私たちの時代に直接つながってくる時代です。あまりに最近過ぎることに加え、現在の国民国家が旧宗主国や植民地の引き写しの上にできたことから、過去の暴力や差別が現在の国民や国家に問われ続けられています。逆に現在の状況を理解するためには、過去に遡らないと理解できません。とは言いつつ、国家・国民・民族の歴史に固執することでは解決しえない課題も多く生じています。環境問題、移動の管理、ミクロな現場での出来事などは、おおむね一国の歴史だけでは解明できません。東南アジア史という文脈でも、一方では国家・国民・民族を歴史の主体としたいという欲望があるのとともに(逆にそういうことを妨げてきたのが植民地主義とも言えます)、他方ではそのような歴史では解明できない多くの課題が突き付けられています。このような問題意識から、現時点ではおよそ三つのテーマに取り組んでいます。①1930年代後半にできたフィリピン・コモンウェルスという国家、②アジア太平洋戦争における戦争犯罪、③環太平洋地域における移動の管理。
 学生・院生のみなさんからは、主には東南アジアを対象としたそれぞれの問題関心を学んでいきたいと思っています。

業績

業績

単行本(単著)
■『「恩恵の論理」と植民地-アメリカ植民地期フィリピンの教育とその遺制』法政大学出版局、2014年9月30日.

単行本(共著、分担執筆など)
□「アメリカ植民地期―作られた「恩恵」の物語―」大野拓司、鈴木伸隆、日下渉『フィリピンを知るための64章』明石書店、113~117頁、2016年12月31日.
□「朝鮮人BC級戦犯問題の現在」和田春樹・内海愛子編『日韓 歴史問題をどう解くか』岩波書店、223~242頁、2013年12月20日.
□「植民地期タガログ語短編小説にみる教育と近代―農村・学歴・植民地都市」永野善子編『植民地近代性の国際比較:アジア・アフリカ・ラテンアメリカの歴史経験』御茶の水書房、103~130頁、2013年3月.
□「原爆文学と複数のアジア―N.V.M. GonzalezのThe Bamboo Dancersを読む」大熊昭信・庄司宏子編『グローバル化の中のポストコロニアリズム』風間書房、269~299頁、2013年3月.

学術論文
●「環太平洋帝国アメリカにおける統治権力と移動の権利―フィリピン系住民のハワイ市民権認定を事例として―」『アメリカ研究』第50号、1~19頁、アメリカ学会、2016年3月.
●「総論に代えて―アメリカ合衆国の現代的性格についての一試論―」『歴史評論』、第780号、5~16頁、歴史科学協議会、2015年4月1日.
●「戦時性暴力はどう裁かれたか―セブ・マクタン島コルドバの事例から―」『アジア太平洋研究』第39号, 129~147頁, 成蹊大学アジア太平洋研究センター、2015年3月.
●「スガモプリズンにおいて「植民地責任」を問うこと―米軍管理期の朝鮮人仮出所者の記録にみる意識と行動―」『季刊 戦争責任研究』第78号, 41~52頁, 日本の戦争責任資料センター、2012年12月.
●"Underside of Independence Politics: Filipino Reactions to Anti-Filipino Riots in the United States”Philippine Studies: Historical and Ethnographic Viewpoints. 60(3), 307-335.Ateneo de Manila University Press, 2012年9月.
●「フィリピン脱植民地化における暴力の軌跡―1930年代の反フィリピン人暴動と暴力批判―」『歴史評論』2012年4月号 (No. 744)、28~41頁、歴史科学協議会, 2012年4月1日.
●「ナショナリズムとアメリカ植民地期のフィリピン人教員層―植民地における公共圏とその限界に着目して―」『成蹊大学文学部紀要』第47号、133~155頁、成蹊大学文学部, 2012年3月18日.
●「フィリピン学校ストライキ論― 1930年のマニラ高校ストライキを中心に―」『東南アジア―歴史と文化―』 第40号、 27~53頁、東南アジア学会, 2011年5月30日.
●「他者としてのフィリピン人の形成―フィリピン植民地教育をめぐる越境的な教育社会史の試み―」『歴史評論』2009年3月号(No.707号)、 63~78頁、歴史科学協議会, 2009年3月1日.
●「植民地と英語―「言語帝国主義」論から見たアメリカ植民地期フィリピンにおける英語認識―」『言語社会』第3号、263~278頁、一橋大学言語社会研究科, 2009年3月31日.
●「アメリカ植民地期フィリピンの公立学校教育における中央集権的性格―アメリカ人教育官僚の理念と教育行政組織を中心に―」『<教育と社会>研究』第18号、44-52頁、 <教育と社会>研究会、2008年8月1日.
●「アメリカ植民地期フィリピンにおける教職員待遇差の具体相」『一橋研究』33巻2号、79~88頁、一橋研究編集委員会、2008年7月31日.
●「ナショナリズムへのアプローチと植民地教育―アメリカ植民地期フィリピンの教育に関する予備的考察―」『言語社会』第1号、3~28(454~429)頁、一橋大学言語社会研究科、2007年3月31日.
●「多言語主義教授言語政策をめぐる学術形成問題―フィリピンのバイリンガル教育政策と言語社会思想―」『ことばと社会』第8号、153~174頁、多言語社会研究会, 2004年11月15日.

翻訳
○ティナ・ドルゴポル著「日本の条約義務不履行を是正する国際行動の可能性」『季刊 戦争責任研究』第79号、2~15頁、日本の戦争責任資料センター、2013年3月.
○テマリオ・C・リベラ著「戦後日本とフィリピンのエリートの継続性―アメリカの影響―」藤原帰一・永野善子編『アメリカの影の下で―日本とフィリピン―』、53~77頁、法政大学出版局, 2011年6月10日.
○エレーン・H・キム著「ハイブリッドと母国―コリアン・アメリカン文学と視覚芸術の現在―」『文化アイデンティティの行方 : 一橋大学言語社会研究科国際シンポジウムの記録』 、407~421頁、彩流社、2004年2月28日.
○The‘Comfort Women’Case: Judgment of April 27, 1998, Shimonoseki Branch, Yamaguchi Prefectural Court, Japan(英文), Pacific Rim Law & Policy Journal, 8(1), 63-108.

その他
・(研究動向)「植民地教育―東アジアとフィリピンを中心に―」『歴史と地理―世界史の研究』、第689号、39~42頁、山川出版社、2015年11月.
・(コメント)「(2015年度歴史学研究会大会報告(近代史部会)」『歴史学研究』 第937号、124~126頁、歴史学研究会、2015年10月.
・(書評)静岡県近代史研究会編『時代と格闘する人々』羽衣出版, 2015 『静岡県近代史研究』第40号、96~99頁、静岡県近代史研究会、2015年.
・(書評)戸谷由麻『不確かな正義  BC級戦犯裁判の軌跡』岩波書店, 2015『しんぶん赤旗』、2015年10月4日付、8頁.
・(報告批判)「2011年度歴史学研究会大会報告批判(近代史部会)」『歴史学研究』、第887号、44~45頁、歴史学研究会、2011年12月15日.
・(書評)McCoy, Alfred W. Policing America's Empire: The United States, the Philippines, and the Rise of the Surveillance State. Madison: University of Wisconsin Press, 2009.(英文)『Southeast Asian Studies 東南アジア研究』、Vol. 49 No. 3, pp. 534~537, Center for Southeast Asian Studies, Kyoto University、2011年12月31日.
・(書評)イレート, レイナルド・C., ビセンテ・L. ラファエル, フロロ・C. キブイェン著. 永野善子他訳『フィリピン歴史研究と植民地言説』東京: めこん, 2004. 『神奈川大学評論』第66号、176頁、神奈川大学、2010年7月30日.
・(書評)木下昭著『エスニック学生組織に見る「祖国」―フィリピン系アメリカ人のナショナリズムと文化―』東京:不二出版, 2009.『アメリカ学会会報』第171号、4頁、2009年11月30日.
・(書評)江藤善章編著『何があったのかフィリピン日本占領下』東京: 新読書社, 2007.『新英語教育』第473号、42~43頁、2009年1月1日.
・(書評)丸山忠次著『ダバオに消えた父』名古屋: 風媒社, 2008 『図書新聞』2885号、5面、2008年9月13日.



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