自己紹介

自己紹介

 私が専門としているのは、前近代から近代へ移行する18世紀後半から19世紀前半にかけてのバルカン・黒海周辺地域の国際関係史です。西欧・東欧・イスラームの三つの世界のせめぎ合う同地域の政治外交関係の歴史的展開を追いながら、ユーラシア西方における世界の一体化のプロセスを実証的に明らかにする作業が私の研究の中心になっています。これまでは現在のルーマニアの地域を分析の中心にしてきましたが、最近はクリミアなどにも徐々に対象を広げつつあります。
 私が考える、地域研究にとって大事なことは次の三つです。一つ目は、対象とする地域を自分の足で歩き、よく観察すること。これが重要なことは言うまでもないでしょう。二つ目は、正確な資料に基づいて物事を考えること。つまり、正確で適切なデータの入手、あるいは適切な史料の正確な読解が大切ということです。そして三つ目は、複数の視点から対象を見ることです。一般に、内側から、近くから、そして遠くから、という三つの視点で対象を見ると、それがより良く理解できるものです。地域研究を目指す意欲的な皆さんのお越しをお待ちしています。

業績

業績

単行本(単著)
■『三つの世界の狭間で―西欧・ロシア・オスマンとワラキア・モルドヴァ問題』(名古屋大学出版会、2013)

単行本(共著、分担執筆など)
□Studii și cercetări de turcologie contemporană: Omagiu Profesorului Mihai Maxim(Călin Felezeu ed., 分担部分”Pazvand-oğlu Osman Pasha, Russia and the Danubian Principalities―from the end of the 18th century to the beginning of the 19th century”, Cluj-Napoca, 2004)
□『カフカース―二つの文明が交差する境界』(木村崇、篠野志郎、鈴木董、早坂眞理編著、分担部分「帝国のフロンティアとしてのカフカース― 一八世紀のロシアのカフカース進出とオスマン帝国」、彩流社、2006)
□『ルーマニアを知るための60章』(六鹿茂夫編著(うち5章を担当)、明石書店、2007)
□『オスマン帝国の諸相』(鈴木董編著、分担部分「一八〇二年ワラキア・モルドヴァ公宛て勅令の意義について―オスマン・両公国関係と国際政治への影響」、山川出版社、2012)
□『高校生のための東大授業ライブ 学問からの挑戦』(分担部分「グローバリゼーションをバルカンから観察する――現在を理解するための歴史学」、東京大学出版会、2015)

学術論文
●ロシア・オスマン関係の中のワラキア・モルドヴァ公問題―18世紀後半から19世紀初頭まで(史学雑誌、第113編第3号、2004)
●Issues pertaining to Wallachian and Moldavian voyvodas and their effect on Russo-Ottoman relations (1774-1806) (Japanese Slavic and East European Studies, vol.27, 2007)
●ロシアのバルカン進出とキュチュク・カイナルジャ条約(1774年)―その意義についての再検討(ロシア・東欧研究、第37号、2009)
●ワラキア・モルドヴァにおけるロシア・ハプスブルク帝国の領事館設置問題―18世紀後半における黒海の国際化との関連で(東京国際大学論叢―経済学部編、第42号、2010)
●「黒海地域」という地域認識―歴史的視点からの一試論(ユーラシア研究、第42号、2010)
●オスマン帝国における中心=周辺関係の変容に関する一研究―18世紀後半のワラキア・モルドヴァとの宗主・付庸関係(東洋文化、第91号、2011)
●ルーマニアにおける水たばこ普及の現状と歴史的背景 : オスマン帝国の支配との関連で(財団法人たばこ総合研究センター助成研究報告、 2014年度、2015)

翻訳
○『バルカンの歴史―バルカン近現代史の共通教材』(柴宜弘監訳、明石書店、2013)(共訳)

その他
・時代と社会を反映するビール―トルコ・ビール略史(中東研究、第500号、2008)
・バルカンの地方有力者イオアンニナのテペデレンリ・アリー・パシャ(一九世紀初め)(歴史学研究会編「世界史史料」第8巻(帝国主義と各地の抵抗I南アジア・中東・アフリカ)岩波書店、2009)
・バルカンにおける食文化と帝国的秩序―オスマン帝国の支配とトルコ料理の分布との相関関係―(食生活科学・文化及び環境に関する研究助成 研究紀要25 (2010年度)、2012)
・回顧と展望(近代ロシア・東欧・北欧)(史学雑誌、124.5、2015)

連絡先

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研究室: 駒場・14号館503B

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