自己紹介

自己紹介

 近世期フランスの歴史が専門ですが、現在を過去との対話の中で豊かにしていくことができればといつも思っています。歴史家が過去に向かうのはノスタルジーからではなく、また過去が過去としてそれだけで意味をもっているからでもありません。「過去」が良きにつけ悪しきにつけ、わたしたちの現在に深く影響を及ぼしているからであり、歴史家は「過去」に問いかけることで、現在だけを見ていては見えない「過去」を探しに行くのです。これまでは医療や身体、読むことや書くこと、人間の生き死に...といった日常性の中に潜む問題から、人間の「こころ」と「からだ」の変化を考えてきました。研究の特徴としては人類学の方法や視座を積極的に取り入れているところにあり、文献を用いながらも単なる知識や情報の集積にはとどまらない、スリリングで広がりのある知を模索しています。

業績

業績

単行本(単著)
お産椅子への旅―ものと身体(からだ)の歴史人類学(岩波書店、2004)
女と男と子どもの近代(世界史リブレット89、山川出版社 2007)
さしのべる手―近代産科医の誕生とその時代(岩波書店、2011)
近世フランスの法と身体―教区の女たちが産婆を選ぶ(東京大学出版会、2018)
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単行本(共著、分担執筆など)
□ 未来の中の中世(「森と泉の妖精メリュジーヌ」を分担執筆、東京大学出版会、1997)
□ ナショナル・ヒストリーを超えて(「戦争と性暴力」を分担執筆、東京大学出版会、1998)
□ 岩波講座 世界歴史16 (「バロック期のジェンダーと身体」を分担執筆、岩波書店、1999)
□ 科研「近世・近代のヨーロッパにおける政治社会」(「18世紀仏の食の歴史人類学」を執筆、2006)
□ 史料学入門(「書物から身体への接近」を分担執筆、歴史部会編、岩波書店、2006)
□ 近代フランスの歴史――国民国家形成の彼方に(「女・男・子どもの関係史にむけて」を分担執筆、ミネルヴァ書房、2006)
□ 歴史的ヨーロッパの政治社会(「地方長官と助産婦講習会」を分担執筆、山川出版社、2008)
□ 中近世ヨーロッパの宗教と政治(「多数決原理の形成とローマ法の受容」を分担執筆、ミネルヴァ書房、2013)
□ 世界史のなかの女性たち(「出産の社会史――床屋外科医と「モノ」との親和性」を分担執筆、勉誠出版、2015)
□ ヨーロッパの歴史I――ヨーロッパ史の視点と方法(第9章「儀礼と表象、感性から見た歴史――歴史人類学の挑戦」、第10章「オーラルとエクリの間――近世期の「個人の語り」について」を分担執筆、放送大学教育振興会、2015)
□ 分断された時代を生きる(「女と男と子どもの近代――啓蒙期フランスの変化から見る」を分担執筆、東京大学教養学部編、知のフィールドガイド、2017)

学術論文
● 女・男・子供の関係史にむけて(初出、思想、719号、1984)
● 権力・産婆・民衆―18世紀後半アルザスの場合(思想、843号、1986)
● <病院化>以前のお産―熊野での聞き取り調査より(思想、924号、1993)
● Élection des sages-femmes à la pluralité des voix par les femmes en Alsace et en Lorraine au XVIIIe siècle, ODYSSEUS, XII, 2008.
● ヘイドン・ホワイトと歴史家たち―時間の中にある歴史叙述(思想、1036号、2010)
● オーラルとエクリの間(あわい)―近世期ヨーロッパの「個人の語り」とその変容(ODYSSEUS, XVII, 2012)
● 近世期フランスにおける母性(母性衛生、54-1、2013)
● 近世末フランス農村とインドの間(あわい)―ヴェッセリングの捺染工場とアルザス南部サン・タマラン渓谷の変容(歴史と地理:世界史の研究237、669号、山川出版社、2013)
● Challenges of “Social History” in Japan: New Perspectives in History, Odysseus, XX, 2015.
● An Anatomist’s Gaze on Bones and Skin in the Early 18th Century Perceptions of the Mind and Body in Transition”, ODYSSEUS, XXIII, 2018.
翻訳
○ 女の歴史―16~18世紀2(「医学と科学の言説」を分担翻訳、藤原書店、1995)
境界を生きた女たち―ユダヤ商人グリックル、修道女受肉のマリ、博物画家メーリアン(共訳、N.Z.デーヴィス著、平凡社、2001)

連絡先

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